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増えたのはニートではなく

増えたのはニートではない。昔から家事手伝いはいたし、全く働かないぐーたらもいたし、引きこもりがちで対人関係が苦手な人間もいた。最近になって彼ら彼女らを「ニート」と名付けて騒ぎだしたのは、そのような種類の人間に対して「働かないなんてけしからん、働かせろ」と思う人間が増えてきたからに他ならない。

働く意欲のない「ニート」は10年前から増えていない

働く意欲のない「ニート」は増えていない?

ええ。数字で見ると(3)「非希望型」の無業者は1992年41.2万人、97年42.5万人、2002年42.1万人と、この10年間驚くほど安定した人数でした。これは非常に重要なことだと思います。

なぜ最近になって、「働かない若者は問題だ」という風潮になってきたのか?答えは簡単だと思う。年金や国・地方の財政が破綻しかねないような昨今であるにもかかわらず、働かない若者は「税金」や「年金」を(ほとんど)払っていないのが明らかだからだ。特に団塊の世代は、もうすぐ自分が年金をもらうという季節になって「年金大丈夫か」って不安になっている。そんな時、若者(=これから自分の取り分の年金を支えてくれる人)が「オレ、働きたくね」なんて言い出したら困るわけだ。

はっきりいえば、最近「ニートを立ち直らせる」「子どもをニートにさせないために」みたいな運動や講演が行われていたりするが、そのような運動のやり方が正しいかどうか以前の問題として、「ニートのために」やっている運動ではないということが大きな問題だ。単に自分の年金がもらえなくなるのが怖いから「働かないなんてけしからん」と怒り、「夢を持て」などと話をすりかえているだけにしかみえない。

その点、本田由紀さんは割と冷静に分析しているように思う。ニートは、フリーターの派生系という見方は現実的な視点だと思う。

私自身はどちらかというと、「ニート」よりも「フリーター」のほうがより重要な問題だと思っています。若い人の労働市場が全体としてものすごく過酷な状況になっているのは確かです。そうした中で働かなくては生きていけないので働こうとしているのが「フリーター」、働くという行動に踏み出していないのが「ニート」です。そして「フリーター」が急増した背景には、労働市場だけでなく社会や家庭、教育などさまざまな問題が指摘されています。それらの多くは「ニート」にもかなり当てはまります。「ニート」は人数的にも「フリーター」より少なく、問題構造においても「フリーター」の派生系と思っています。「フリーター」や「ニート」が抱えている困難を個々人の問題に帰すのではなく、社会レベルで対処すべき構造的な問題として捉えるべきです。

もっとも、本田さんはその後「すべての普通高校を「専門性に特化した高校」へと再編する」ことを提唱しているが、これには私は反対だ。そうすると、15歳くらいの段階で、自分の将来のビジョンをかなり明確にもっていなければならないことになる。それが社会にとっても本人にとってもいいことだとは、あまり思えない。

ニートにしてもフリーターにしても、「小さな問題」には違いないが、「大きな問題」ではない。なぜなら、ニートが全員働き、フリーターが全員社員になったところで、税収も年金もそんなに潤うわけでもない。20代30代のフリーターが社員になるということは、逆に50代社員の給料が年収300万円に減らされるだけの話だからだ。年金がもらえなくなる不安をニートにぶつけたところで、全く筋違いの話だ。

だから「ニート/フリーター問題は何もしない」、これが適切な処置だと私は思う。それよりももっと根本的に、団塊世代が不安におもっている「国の財政破綻」「年金問題」こそが「社会レベルで対処すべき構造的な問題として捉えるべき」じゃないかなぁと思う。