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「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」を読んだ

「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」を読んだ。

個人的に忙しかったので、買っておいて数週間くらいかけて読もうかと思っていたんだが、この本、予想以上に人気で、現在入手困難な状況らしく、なんと、アマゾンでは定価800円のこの本に中古で1000円の値がついていたりする(2006年2/16日朝現在)。せっかく買っていながら読まずにはいられまいと思い直し、3日かけて読んだ。

内容的には、これまでの梅田さんの記事の再構成といった感じだが、やっぱり本として体系的に読むと、別の発見があったり、わかっていたつもりのことを再認識したりできるので、満足だった。安いしね。

で、梅田さんが「わざわざ」本にまとめて出したというのは、自分の主張を突き通したいというより、これを叩き台として欲しいってことなんだろうな、というのが一番の感想だったので、この本を読んだ(あるいは普段から梅田さんの記事を読んでいた)ことを前提に、雑感をば。

この本の中には、何度も「Googleスゴイ」(それに比べて日本のIT企業=日本ヤフーや楽天は・・・)といった主張がでてくる。あるいはGoogleをシリコンバレー、楽天を六本木ヒルズと置き換えてもいいかもしれない。そして、(特に若い人に向けて)日本にもGoogleみたいな会社が生まれて欲しい、日本もシリコンバレーのいいところを見習って欲しい、というような思いがにじみ出ている。

確かにここ数年のGoogleは凄い。それは素直にそう思うのだが、しかし日本のIT企業はGoogleに比べて頑張っていないか、といわれれば、そうでもないと思う。実際、検索エンジンGoogleのシェアは、世界では一位だが、日本に限ってはヤフーの方が上だ。アメリカとの勝負では日本は負けているかもしれないが、他のヨーロッパ諸国などに比べれば善戦しているともいえなくはないだろうか。

日本のIT企業は、日本ヤフーと楽天だけではない。デジタルガレージグループ(価格.comテクノラティジャパンWEB2.0)も、価格.comの騒動があったが、堅実に成長している。リクルートグループも身が軽くなったのか、最近は動きを見せている(ドコイク?とか、ゼンリンデータコムとの業務・資本提携とか)。

Googleは世界にひとつしかない、極めて稀な形態の会社だと思う。非常に冷めた言い方をするが、日本の風土でGoogleの真似っこをしたところで、現実的には収益を上げていくのは難しいだろうし、まして追い抜くことはできないと思う。もちろん驚異には違いないし、すげー会社だし、「ウェブ進化論」は間違ったことは書いていないと思うが、その「Googleすげー」っていう危機感は持ちつつ、楽天は楽天で、リクルートはリクルートで、独自の道を突き進めば、それほど大きな問題はないだろうと思う。


問題が深刻なのは、日本のIT大手企業より、中規模企業に勤める人たちであると思う。もっとはっきりいえば、私が深刻だということだ。ここでいう「中規模企業」は、いわゆる「IT企業」にとどまらない。たとえば今日の日経に「アマゾン、今春から直接仕入れで委託販売」なんてニュースがあったが、WEB2.0系の企業によるこういう動きが本格化すると、(WEB関連であるなしを問わず)既存の企業(この場合、取次や卸)の存在価値が脅かされることになる。

中小企業ではなく「中規模企業」といったのは、逆に小規模な企業や個人は、ロングテールの恩恵を受ける可能性もあると思うからだ。上記のアマゾンの話だと、たとえば自費出版や同人エロ漫画など、既存の取次や卸に冷遇されている紙媒体は、逆にビジネスチャンスになるかもしれない。

ロングテールの「しっぽの先」は、究極的には「一対一」のビジネスになると思う。つまり、個人や非常に小さなグループ・団体は、中堅以上の会社が手がけられないようなニッチな商品やサービスを仕掛けられるチャンスが用意されるかもしれない、GoogleやAmazonなどによって。

しかし一方で、本における「ハリーポッター」シリーズのように、売れる本は売れる。休日にはディズニーランドに行き、バレンタインデーにはチョコを買って渡すという「大衆消費社会」もまた、存在しつづけるだろう。そうなると、ある分野で首から上の地位にいる大企業は、それなりに安泰ではあるが、そのおこぼれを頂戴することで成り立っている胴体部分の中規模企業は、危険かもしれない。逆にフットワークが軽く、ニッチな商品やサービスを提供する個人や小規模グループは、しっぽの部分でしぶとく生き延びる。

というようなこれからの10年になるのかなぁ、と、とりあえずは思った。が、あまり深くは考えていないので、他の人のレビューをみれば、ころころと意見は変わるかもしれない。



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