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少量制作大量コピー時代から、大量制作超大量コピー時代へ

「大量生産大量消費時代」などという言葉があるが、生産と言う言葉は実は「コピー」であることを忘れてはならない。元の「雛形」の制作は職人や設計者やクリエイターなどの「少数の専門家」が行い、それを工場でコピーする。コピー物であるからこそ、大量に安価に、安い賃金労働者で生産が可能になる。特に音楽における「CD」などがわかりやすいが、アナログな生産物(レコード)から「デジタル化」された商品(CD)なら、それは比喩的ですらなく本当に「コピー物」であり、よりいっそうの大量生産時代へ突き進むことになる。

と、ここまでが20世紀までの話であるが。で、今、何が起きているかと言うと、まずはこれまで「工場でしか生産(コピー)できなかった」商品が、個人のパソコンで簡単に生産(コピー)可能になったということだ。そしてさらに第二段階として、制作物の元雛形を「少数の専門家が作る」という時代すら終わろうとしている、ということに尽きるだろうと思う。

YouTubeキラー? 報酬がもらえるコンテンツ投稿サイト

 コンテンツ投稿者と利益を分け合うeefoof.comというコンテンツ共有サイトが、Webの一部で「YouTubeキラー」と呼ばれ、話題になっている。

 このサイトでは、ユーザーはビデオ、Flashムービー、音声、画像を投稿し、コンテンツのトラフィックに応じて報酬を受け取ることができる。コンテンツの投稿にはユーザー登録が必要。

もちろんYoutubeも、このまま黙っているわけではないだろう。R30氏は「私的な予測である」と断って、次のように予測している。

YouTube-Google型企業になるための4つの法則

4.視聴者ではなく、表現者の囲い込みと“経済圏”の構築が今後カギ

<略>ユーザーがアップロードするコンテンツをたくさん蓄積するためには、当たり前だがアップロードするユーザーをリスペクトし、囲い込むことがまず必要だ。彼らが今、最も戦略的にフォーカスしているのは、だから恐らく「映像をアップロードするユーザーの数」を増やすことだろう。

 そのためにはまず、表現者たる彼らに最大限の自由と利便性を提供することだ。そして、e-Mailアドレスをしっかり把握することで、緊密に連絡が取れるようデータベースを常に洗い替えしておく。おそらく、今後数ヶ月以内にYouTubeは動画への広告の自動挿入とコンテンツ-広告の自動マッチングの技術を開発し、動画に挿入された広告が視聴された回数に応じて表現者のユーザーに広告収入を還元する「動画版Adsense」をリリースするだろう。

 面白い映像をアップしてたくさんの人に見てもらえた表現者の手元に、1本で何万円という広告収入が転がり込んでくる可能性がある。すでにNBCがPodcastingで配信している有料番組では、1DLあたりのマージンが$1.50という数字で「美味しすぎる」という話が出ている。

Youtubeは現在、テレビ番組やアニメDVDなどの違法アップロードが多数コンテンツになっているが、これは私が先述した第一段階、つまり「これまで工場でしか生産(コピー)できなかった商品を、個人が生産(コピー)」して、Youtubeにアップロードしている段階である。生産という言葉をあえて使っているが、しかし、元の雛形を制作したのはコンテンツアップロード者ではない。アニメ制作会社やテレビ局だ。だからこそ、著作権で問題になっている、この著作権に関してもいろいろあるんだが、そこまで言及するとそれだけで単著が書けてしまうのでこのエントリーでは省く。

Youtubeに懐疑的で否定的な人というのは、恐らくこの第一段階で終わり、と考えているからだろう。「著作権でグレー、っつーかクロだから、当局が本気出して取り締まれば終わりでしょ」という風に。もちろん、実はその可能性もある。が、それだけで終わらない可能性も否定できない。それが、「第二段階」に入り、さらにそれがビジネスモデルとして確立された時だ。

繰り返しの説明になるが、「第二段階」とはすなわち、生産(コピー)だけでなく、制作までを(これまでの専門家でなく)素人が行い、アップロードし、さらにそれでお金が動いてビジネスとして成立してしまう段階だ。

コンテンツアップロード者に対価が支払われる訳ではないYoutubeでも、素人によるコンテンツ制作物は結構ああるし、面白いものも多い。

YouTubeについて(2)

アメリカの大学はほとんど田舎にあり、周囲に遊び場はほとんどなく、寮に住んでいる学生も多い。暇をもてあました彼ら彼女らが何人か集まって、数分のホラー映画を制作してYouTubeでアップする(チープ革命の影響が大だ)。この「Pencils」という映像の視聴者264人を「こんなにもたくさんの人に見てもらえた」と感動するか、少なくて意味がないとバカにするかは、評者の立ち位置によるが(後略)

これが、コンテンツ制作者にも対価が支払われるようになると、さらに面白いビデオがアップされるようになるだろう。いや、Youtubeより先に、まずどこかがアダルトOK版Youtubeもどきサイトでビジネスモデルを構築して成功するかもしれない。

ここでもポイントは、やはり梅田氏がいう「チープ革命」だろうか。プロのカメラマンや映像監督、アナウンサーではなく、「素人」が面白いビデオを制作し、アップロードし、対価さえ得る。もうこうなると、プロとは何か、素人とは何かという話にすらなる。現在プロの映像コンテンツ制作者は、ごく近い将来、何億といる素人コンテンツ制作者と戦わなくてはならなくなる可能性がある。もちろん、そのほとんどが、くだらない内容の素人ビデオかもしれない。しかし相手は日本だけでなく全世界なのだし、下手な鉄砲数打ちゃなんとかということわざもある。

もちろん、「少数の専門家」領域が侵されるのは、映像コンテンツ関係者だけではないのはいうまでもない。