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広がりすぎた社会のグレーゾーン化の象徴「2ちゃんねる」

先週後半当たりから、なにやら2ちゃんねる周辺が騒がしい。一部マスコミで「2ch.net」のドメインまで差し押さえられる可能性が指摘されたからのようだ。

ZAKZAK「ユーザーショック…2ちゃんねる、再来週にも強制執行 」

ネット界激震!! 賠償命令を無視し続けてきた日本最大の掲示板「2ちゃんねる」(2Ch)の管理人、西村博之氏(30)の全財産が仮差し押さえされることが12日、分かった。債権者が東京地裁に申し立てたもので、対象となるのは西村氏の銀行口座、軽自動車、パソコン、さらにネット上の住所にあたる2Chのドメイン「2ch.net」にまで及ぶ見込み。執行されれば掲示板の機能が一時停止するのは必至だ。

whois検索してみればわかるし、既に何人かの弁護士センセイが指摘しているように、「2ch.net」ドメインはひろゆきの名義にはなっていない。なので、単純にドメイン差し押さえは難しいだろう。

が、この問題は「ドメインの差し押さえは名義が違うから無理ですね」で済むのかどうかは、情勢的に微妙だろうと思う。2年前ならこれは単なる噂に過ぎないと一蹴できただろうが、今現在は違う。昨年のライブドア強制捜査→ホリエモン逮捕以降、消費者金融の「グレーゾーン金利」撤廃議論や、路上駐車や飲酒運転の取り締まり強化や、Winny開発者への有罪判決などの社会の一連の流れは、2ちゃんねるに味方していない。

世の中には、殺人や強盗など明らかな「犯罪」と、なんら社会的・道徳的に問題のない「無罪」な状態に完全に二分されるわけではない。有罪と無罪の間にはある程度の「グレーゾーン」が広がっているのが普通である。ところが社会が細分化され、価値観や道徳観がバラバラになった結果、あまりにもその「グレーゾーン」が広がりすぎてしまった。それを是正する動きが自然と出てきて、今、黒に近い(と思われる)グレーを法律等で「クロ」だと決定する動きが広がっているように思う。


駐車違反のグレーゾーン撤廃
たとえば車を運転する人にとっては、「駐車違反」などがその典型例だろうか。数年前までは「少しの時間止めるだけ」「ちょっとトイレに行く間だけ」車を止めておくのは、「グレーゾーン」であった。もちろん厳密に言えば、駐車違反区域に駐車していれば「駐車違反」なのは当たり前ではある。しかし、あまりに杓子定規に駐車違反として取り締まってしまうと、車の利便性が損なわれてしまうという意見が大勢を占め、「車線がある程度広い道での数十分くらいの駐車はグレーゾーン」とする考えが主流だったろう。

しかし、このグレーゾーンは広がりすぎた。ドライバーによっては数十分が小一時間から一時間超に「グレーゾーン駐車時間」拡大されたり、あるいは逆に歩行者や周辺住民にとっては数分の駐車でも十分悪質だと感じるようになった(それほどに車が増えた、あるいはドライバーのマナーが悪くなった)。結果、2006年6月1日より道路交通法が改正され、「少しでも車を離れていたら駐車違反」という風になった。つまり、従来グレーゾーンがほぼ撤廃されて、明確にクロ判定となったわけだ。

同じことのダブりになるので詳細は書かないが、飲酒運転厳罰化や消費者金融のグレーゾーン金利撤廃なども、その流れである。加えて、ホリエモンや村上氏の逮捕、Winny開発者への有罪判決なども、同じ流れにあると考えていいと思う。


そして、2ちゃんねるである。2ちゃんねるは、2つの意味で「社会のグレーゾーン化」の象徴であると私は思う。


2ちゃんねるのグレーゾーン1「祭られる側」
1つはまず、2ちゃんねるで「祭り」になる多くの題材が、「グレーゾーン」なものだと思う。明らかにひどい残虐な殺人犯を指して「これはひどい」と祭りになることは少ないだろう。少し古くは「イラク人質(とその家族)」への自己責任論バッシング、最近では「死ぬ死ぬ詐欺」バッシングなどが典型だが、バッシングされる根拠となる行動というのは、法律的に明らかに問題であるわけではない(そうでなるなら、とっくに逮捕されているわけだし)。

そうではなく、「一部の2ちゃんねらー(笑)」が、「法律的に微妙だけど、どーなんだ」あるいは「道徳的にそれはまずいだろう」と考えた問題がクローズアップされ、司法に変わって正義の鉄槌を下すのである。

特に「死ぬ死ぬ詐欺」なんかが典型だが、社会が細分化され共通の道徳観や思想が崩壊した結果、「年収○○円で○○円の自宅を購入している会社員が○○円募金をメディアを通じてお願いする」事に対して、道徳的にまずいのかOKなのかのコンセンサスがない時代なのだと思う。社会の上層以上の人間にとっては既にローンも組んでいる状態でさらに○○円なんて、とても用立てできないから、募金をお願いするのは至極当然だと考える。一方社会の底辺にいる人にとっては、自分のレベルまで生活レベルを落とせば十分給料で賄える金額なのに、それで募金を集めるのは『詐欺』じゃないかと考える。「一部の2ちゃんねらー(笑)」と呼ばれる人たちは、これを「限りなくクロに近いグレー」ととらえて、攻撃する。


2ちゃんねるのグレーゾーン1「祭る側」
2つめの意味は、その攻撃方法がグレーゾーンだという問題だ。
「表現の自由」は、もちろん憲法でも認められた権利だ。が、何百人、時には何千人と集団で個人の言動を非難し、場合によっては大学や会社などへ電話することが道徳的にまずいのかOKなのかという問題も、また「グレーゾーン」なんだろう。

「一部の2ちゃんねらー(笑)」は、悪いのは相手であり、その悪い相手に対して合法的な手段で情報を集めて、その本性を暴くことが「問題行為」だとは考えていない。しかし一方で、「相手に多少の非があるにしろ、よってたかって会社や学校まで巻き込むのはまずいだろう」と考える人も多い。また、2ちゃんねるは実質的に匿名掲示板であるため、発言や行動の責任が最終的に誰に帰結するのかというのもまた「グレーゾーン」だ。


そろそろ2ちゃんねる的「グレーゾーン」の限界か
「裁判」、とくに民事裁判というのは、そのグレーゾーンに関して白黒つける、というのが大きな目的である。ところが2ちゃんねるに限っては、その機能もまた崩壊している。ひろゆき氏が裁判を放棄し、その代わり賠償金を支払わない、という戦術をとっているためだ。

「2ch.net」ドメインを差し押さえろ、とかいう記事が出てくること自体が、時代の流れが「今のカタチでの2ちゃんねる存続」に不利だろうと思う。確かに名義はひろゆき氏とは別人だ、今までの社会の考え方では、差し押さえできない。しかしドメインが別名義であっても、中の掲示板コンテンツが実質「ひろゆき」氏の所有物であると認定されれば、ドメインではなく「掲示板」自体を差し押さえられる可能性もなくはないと思う。倉庫の土地が他人名義でも、中の荷物がひろゆき氏の所有物だと認定できれば、差し押さえることができるであろうからだ。

もちろんそれとて、今日明日で簡単に事が運ぶことでないのは確かだと思うが。当局によって2ちゃんが「クロ」だと判定されれば、最悪の場合、有無を言わさず閉鎖ということもある。個人的には、そこまでこじれるまえに、自主的に「2ちゃんねるはシロ」という社会的にコンセンサスが得られるよう、少なくとも「その努力」はした方がいいと思うのだが。これらは全て「ひろゆき氏」次第だろうか。



コメント

oh man what are you all doing? It seems like the only thing you do is writing comments. Don’t be crazy!