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ジャン・ボードリヤール氏が死去

「消費社会の神話と構造」「象徴交換と死」「シミュラークルとシミュレーション」の、ジャン・ボードリヤール氏が亡くなったそうだ。

仏の哲学・社会学者、ジャン・ボードリヤール氏が死去 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

独自の視点で消費社会などを批評したフランスの哲学者で社会学者のジャン・ボードリヤール氏が6日、パリの自宅で死去した。

中略

ブランドなどの記号に左右されがちな消費者の動向を分析して、消費社会の特質を指摘し、反響を呼んだ。91年の湾岸戦争の際の論文「湾岸戦争は起こらなかった」では、遠隔地で起きている戦争がマスメディアによって同時代の出来事として伝えられたものの、なかなか実態が把握できない「仮想現実」を描き、現代の戦争の特殊性を解説した。

個人的には、大学時代以降、彼の著作を読んで(もちろん難解なので全てを理解できたとはいえいが)、その後の思考形成に大きな影響を与えられた。改めて、ご冥福をお祈りしたい。

社会学や広告・マスメディアなどを勉強していれば、少なくとも聞いたことはある名前だろうと思う。「オリジナルなきコピー」が消費社会を支配していく様を論説した。もし知らない人には、映画「マトリックス」の元ネタのひとつ、といったらわかりやすいだろうか。仮想現実が現実を超えた現実、つまり「ハイパーリアル」化するという社会像。ちょっとググったら、既に書いてくれている人がいた。

マトリックス・リローデッド

一作目が公開されたときに、映画のなかで、ボードリヤールの『シュミラークルとシミュレーション』が引用されていることが、一部で話題になった。キアヌ・リーブスは、『リローデッド』の撮影に入る前に、その『シュミラークルとシミュレーション』を読むように、監督からいわれたという。機械によって作り出される仮想現実が現実に取って代わる世界を描く『マトリックス』には、たしかにボードリヤールの哲学と呼応するものがあるように思える。今、本当にたまたま開けた『シュミラークルとシミュレーション』のあるページには、こんな箇所がある。

「『父』も『母』も消えた、それは主体の危険な解放のためではなく、コードと呼ばれるマトリックスに有利に働くためだ。母もなければ父もない、マトリックスだけだ」

上記記事にもあるが、ボードリヤール氏自身は映画「マトリックス」を、自身の思想が曲解されてしまったといっていたようだ。が、その事自体、すなわち彼の著書『シュミラークルとシミュレーション』自体が模倣され記号化され消費されていく様自体が、彼の思想が正しいことを皮肉にも証明しているようにも見える。

今後、この「すばらしき」オリジナルなきコピー大量消費社会は、どこまで続いていくんだろうか。